2012年5月14日月曜日

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中国市場における販売と生産

 現代自動車は、02年に中国北京に進出した。当初は北京市のタクシー需要も得られたので、06年まで年率2桁の販売台数の増加を達成してきたが、中国メーカーとの価格競争や先進国メーカーとの品質競争にあって、07年に生産販売とも初の前年割れとなった。販売が低迷したのは、現代自動車が中国で生産販売していたのは旧式モデルであり、米国市場や韓国市場向けに開発されたもので中国市場に合っていなかったからとしている。このため現代自動車は、08年4月に稼働した第2工場で、中国市場専用に内装デザインや外観デザインをかえたエラントラを中国名「悦動」として生産開始した。この効果もあり、08年の生産台数は43万台と過去最高に達したが、目標には達しなかった。ところが、09年に中国政府が内需促進のた� �自動車購入税を免除する政策を打ち出し、排気量1.6リットル以下の中・小型車に対する減税、買い替え助成金、燃料税導入という奨励促進措置を連続的に発動した。これが追い風となり09年には対前年比93.6%増化の57万台のクルマを販売した(『FOURIN 中国自動車調査月報』2010年2月25日、No.168)。2010年の現代自動車の販売目標は67万台である。
 2010年6月30日に中国政府は、16社30車種71型式を、燃費の良い小型車(排気量1.6リットル以下)に補助金を支給する制度の認定対象車として発表した。認定の対象は、現行の燃費規制より燃費性能が20%以上良い車種である。中国当局は、メーカーが応募した車種を審査して決定する。これに認定されれば、購入時1台当り3,000元(約3万9,000円、本体価格の5〜10%相当)が支給される。16社30車種のブランド別ではGMが7車種認定され最多で、日本はホンダが2車種、スズキが1車種に留まった。これに対して現代自動車グループは4車種が認定された(『日本経済新聞』2010年7月1日)。
 現代自動車は、2012年には中国市場で130万台� ��生産基地を確保する予定である。このため、2010年には北京近郊に年産30万台の第三工場建設を開始する。早ければ、2011年末に操業を開始する。新工場が予定通り完成すれば、起亜自動車と合わせて130万台以上の生産基地を確保することになる。
 北京の現代自動車に部品を供給するメーカーは合計156社あり、このうち70%が韓国内から進出した協力企業である。これらの企業が現代自動車の品質維持に力を発揮している(『東亜日報』2010年3月30日)。

欧州での生産


比較を撃つ衝撃

 現代自動車は、チェコ東部ノショヴィツェに年産30万台規模の工場を総投資10億ユーロで建設し08年11月に稼働させi30の生産をしている。09年2月にi30CW、同年11月には起亜自動車のVengaの生産を開始した。2011年には新モデルの生産を開始する予定である。ここでは変速機も生産する。
 一方、起亜自動車は、現代自動車のチェコ工場に隣接するスロバキアのジリナに進出して、06年12月に量産を開始した。総投資額は7億ユーロである。生産地としてスロバキアを選んだのは、政府のインセンティブ、生産コストの優位を挙げている。2011年までに生産能力は30万台にする予定である。ここではcee'd、Sportageを生産しているが、2010年からは現代自動車のix35の生産を開始する。

欧州での販売


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 09年現代自動車グループは、ドイツなどで導入され09年1月から年末まで実施された環境プレミアム、すなわち廃車買い替えインセンティブを活用し販売を伸ばした。比較的価格の安い新車、iモデルの販売が伸びた。現代自動車は、07〜08年にかけて小型車ラインを刷新していた。同時期に小型乗用車の新車の投入が比較的少なかったトヨタと比べるとインセンティブを受けやすかった。欧州における販売台数は60.3万台になり、19.3%アップした。ドイツでは09年の販売台数が対前年比80%も増加し9.1万台になりシェアは1.6%から2.4%へアップした。起亜自動車も60%強増加し5.5万台販売した。
 またイギリスでも廃車買い替えインセンティブを実施したので現代自動車は4.5万台を販売し、起亜自動車は3.3万台を販売した。
 � ��代自動車及び起亜自動車とも低価格を武器にしているだけでなく、長期間の保証もつけているので、製品の信頼性や顧客満足度の評価が高い。現代自動車のiモデルは、低価格ながら競合製品と比較して燃費や安全性が劣らない。i30モデルは、1.6リットルディーゼル車(90馬力)で、価格が16,140ユーロである。燃費及び排気量が同じフォルクスワーゲンのゴルフやフォードのフォーカスの価格がそれぞれ20,000ユーロ、18,250ユーロであるのに比較すれば割安感がある。i30モデルは、07年に投入され、08年にはi10、i20が販売された。i20、i30は、ドイツのテクニカルセンターがデザイン設計を担当し、5年間の保証つきである。また、日系メーカーに比べて排気量1.1リットル、1.5リットル、1.6リットル、2.0リットル、2.2リットルと豊富なディーゼル� ��ンジンを搭載している。
 英国のユーザー向け自動車情報誌が実施する調査では、製品の信頼度、満足度においてi30が今年4月に1位になった。また、7月にはドイツの自動車専門誌「アウトビルド」でホンダ、アウディ、トヨタを抑えて顧客満足度の調査で1位となり着実にブランドの評価を高めている。
 他方、今年の販売は、09年に需要を先食いして売れすぎた反動があり、また各国の買い替えインセンティブが終了または縮小しつつあるので、シェア拡大はむずかしい。

アメリカでの生産


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 2010年2月26日にアメリカ・ジョージア州ウエストポイント市で起亜自動車のジョージア工場の竣工式が行われ、本格的な生産に入った。起亜自動車がここに工場を設立するに至った経緯は、州知事の働きかけが大きな役割を果たしている。知事は06年にソウルを訪問して交渉を主導し、工場誘致に成功した。ジョージア州が起亜自動車に提供したインセンティブは、総額4億1,000万ドル(約364億円)である。工場の敷地や道路・鉄道インフラを無償で提供した。また教育・訓練費を支援し税金についても減免の措置を取った。工場設立によって創出された雇用は工場本体が1,100人、同伴進出した部品メーカーが4,000人、関連サービス業が5,900人で合計1万1,000人であるが、2012年までに2万人を超えると推計されている。工場の生産能 力は30万台、昨秋から生産している車種はソレントRであるが、2010年下半期には現代自動車のモデルも追加する予定である(『朝鮮日報』2010年2月27日)。
 現代自動車は、アラバマ州で05年にNFソナタの生産を開始し、06年にはSUVサンタフェの生産を開始している。年間生産能力は30万台である。

アメリカでの販売

 09年1月に現代自動車アメリカ法人は、「失業者補償プログラム」を導入した。これは、新車を購入してから1年以内に失職した場合、クルマを返却でき、残るローンも免除するというものである。このプログラム導入の結果、09年はアメリカで対前年比9%増加の43万5,064台を販売し、販売上位10社のうち、唯一販売を増やした(『中央日報』2010年7月6日)。
 アメリカ市場は、マーケットサイズとして最大であるばかりでなく、市場シェア拡大も望めるコアマーケットとして位置づけられている。もっとも、現代自動車は、市場規模だけで地域の重要性を判断しているわけではない。同社は世界の市場をその特性や成長性に従いマッピングしているという(注)
 それによるとアメリカ市場は、ブランドの� �値を高めるために活用する市場と位置づけられていて、米国で高い評価を受ければ、それがアジアでのブランド戦略に優位に働くと考えているという。
 現代自動車がブランド戦略として重視しているのがJ.D.パワー・アンド・アソシエイツ社の評価である。アメリカ市場でも現代自動車の品質の評価は高まっている。J.D.パワー・アンド・アソシエイツ社がまとめた09年初期の品質調査では、現代自動車のエラントラが小型車部門のトップになった。

LPGハイブリッド車の市場投入


 09年7月8日に、現代自動車は、韓国車で初めてのLPGハイブリッド車であるアバンテLPGハイブリッドを市場に出した。
 このクルマは、同年4月のソウルモーターショーで公開したもので、現代自動車が3年7ヵ月、190億円(2,508億ウォン)を投じて開発したものである(『中央日報』2009年4月6日、7月16日)。
 このクルマのバッテリーは、日本のハイブリッド車が使用するニッケル水素バッテリーではなくリチウムイオンポリマーバッテリーで、前者に比べて軽く小さいので積載空間に余裕ができるとしている。燃費は他の環境対応車に比べると低いということであった。現代自動車は、LPGハイブリッドを出した理由について「世界最高水準のLPGエンジン技術、ガソリンに比べてCO2排出量� ��少ないクリーン燃料、ガソリンに比べて安いLPG価格、国家エネルギー需給側面を考慮」の4点を挙げた。
 しかしながら、LPGを乗用車の燃料とする国は、世界中に韓国と日本しかないと言われていて、しかも日本では一部のタクシーとバスにしか使用されていないので、このクルマの世界市場は小さいと言わざるを得ない。にもかかわらず、現代自動車はなぜLPGハイブリッド車を開発したのか。一部には、先発のトヨタの広範囲な特許を避けるためにLPGを選んだのではないかという解釈もあったが、現代自動車の担当常務の説明では、LPGでもガソリンでもトヨタの特許を避けることはできないとその説を否定した(『中央日報』2009年7月16日)。
 8月には、起亜自動車がLPGハイブリッド車フォルテを販� ��開始した。
 発売から8ヵ月が過ぎた今年3月のLPGハイブリッド車アバンテ及びフォルテの販売台数は、目標であるアバンテの月1,300台、フォルテの月800台の半分にも届かなかった。LPGハイブリッド車の韓国内の人気は芳しくない。そこで3月に10%以上(290万ウォン、24万円)の値引きイベントを開催したが、それでも結果は良くなかった。
 LPGハイブリッド車が不振である理由のひとつに、燃費の悪さがある。公認の燃費は17.
8キロであるが、実際の燃費は10キロで、同じクラスのガソリン車にも劣ることが指摘されている。
 他方、これとは別に現代自動車は、2010年までに燃料電池電気自動車を500台政府に供給し、2012年に量産する計画である。新聞情報では、現代自動車では、すでに相当の資金を投入しているLPGハイブリッド車を引き続き開発すべきか、それともルノー日産グループのように電気自動車開発に集中すべきか、社内でも意見が分かれているという(『東亜日報』2009年11月19日)。
 また、長期的には水素燃料電池車をエコカーのモデルとすべきという意見もあり、方針が定まっていない。

環境対応電池開発

 現代自動車は、韓国政府のエコカー4大強国入りという目標を背景にエコカー開発のため、08年8月、韓国知識経済部(日本の経済産業省に当たる)と自動車部品研究院、サムスンSDI、LG化学、SKエネルギーとともにプラグインハイブリッドカー用リチウムイオンバッテリーの共同開発に関する業務提携をした。
 これまで韓国の自動車産業の発展を支えてきた基礎技術は、日本や欧米系の主要部品メーカーから技術導入して国産化したり進出企業による現地生産で入手したりしてきたものが多く、その傾向は現在も変わらない。これまでのように、先進技術の後追いではトップランナーとしてのブランドイメージを形成することはむずかしい。次世代自動車に入れ替わるまえに、現代自動車グループにとっては、世 界市場制覇と技術開発のトップランナーの仲間入りという課題をクリアーする必要があろう。

(注)『韓国・中国企業の欧米市場戦略』ジェトロ、海外調査シリーズNo.372、2007年11月、106ページ

(みずの じゅんこ)

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