ASUSの「Eee Note EA800」が気になる〜 - ケータイ Watch
■ ASUSの「Eee Note EA800」が気になる〜
このニュースを見て急激にアスースの「Eee Note EA800」が気になり始めた俺。ペンで手書きできたり録音できたり画像メモを撮れたりするデジタルノートだそうで、2012年1月現在の実勢価格は1万8000円〜1万9800円くらい。
コレ、デジタルノートということで、たとえばポメラとかBoogieBoardなどのようなシンプルな文具系ガジェット? と思っていた。ワコムのEMRテクノロジーを採用したペン入力ができるので、スラスラ滑らかに書けるんであろーし、録音や画像メモにも対応している。常用するデジタル文具としても取材用ノートとしても良さそうだ、と興味を持ったんですな。
が、調べて見ると、単純に文具系ガジェットとは言い切れなさそうな製品であった。Wi-Fi対応(IEEE 802.11b/g)でウェブブラウザも使えて、Evernote連携機能まである。またPDFの閲覧も可能で、そのPDF上に手書きコメントなんかも残せるらしい。通話はできないけど、ちょっとスマホ寄りな雰囲気が。……ももも、もしかしたらスゴく便利なガジェットなのかも!!
というわけで実機を借りて試してみた。以降、「Eee Note EA800」の機能や使用感などをレポートしてみたい。
■ EA800はナニがデキるのか?
まずはEee Note EA800(以下、EA800)を手にした感じから。
本体サイズは幅15.8×高さ23×厚さ1.35cmで、重量は約520g。iPad 2より軽快に持ち歩けるが、GALAXY Tab 7.0 Plus SC-02Dと比べるとやや重め大きめのタブレットとなる。でもまあ十分常時携帯できる端末ですな。
なお、本体には専用の専用ブックカバーが付属する。アルミ製の本体は剛性が高く、これにカバーを装着するとモバイル時の傷つきや破損などの不安感を大きく抑えられる。
EA800の画面は768×1024ドット(XGA)の8型モノクロ液晶で、バックライトは非搭載。パッと見ではなかなか高精細で、ある程度明るいところなら視認性にも問題なさそうだ。あとこの端末、バッテリー駆動時間は最長で約11.5時間にもなるそうで、前述の携帯感を含め、ますます期待大!! な気分である。
さて、このEA800、機能としては具体的にナニがデキるのか? 以下にEA800の機能をザザッと列挙してみたい。
上の写真のようにいくつかのアプリを使えるEA800だが、まず常用となりそうなのがメモ系アプリ。「メモ」は専用ペンで自由に書ける手書きメモ機能だ。「テキストメモ」は専用ペンでソフトウェアキーボードを操作して入力する機能。「音声メモ」はボイスレコーダーですな。
このうち「メモ」(手書きメモ)ではページに表を入れたり写真を貼ったりして、その上に手書きすることもできる。EA800には200万画素のカメラが搭載されており、これで撮った写真を「メモ」に貼り、手書きコメントで説明するような使い方が可能だ。
また「メモ」で書いたドキュメントはEvernoteへ転送できる。EA800にはWi-Fiによるインターネット接続機能があるので、これを経由して「メモ」をGIF形式ファイルとしてEvernoteへ転送できるのだ。なお、転送先はEvernoteの「from Eee Note」フォルダとなる。
それから「Reader」アプリによりEA800を電子ブックリーダーとして利用することができる。閲覧できる電子ブックはEPUB形式かPDF形式のファイルで、現状&基本的にはPCとEA800をUSB接続してEPUBやPDFを転送したり、EPUB/PDF入りのmicroSD/SDHCをEA800に挿して読むという使い方になる。なお、EA800上でEPUB/PDFに手書きコメントなどを書き込むことができる。
このほか、ちょっと使えるユーティリティ類やウェブブラウザー、ミュージックプレイヤー、ゲームなどのアプリもある。
けっこー盛りだくさん感がありますな。次いで、各種機能(アプリ)の実使用感を見ていこう。
■ デジタル手書きノートとしてなかなかイイ
まずEA800の主軸的機能となるメモ系アプリなどの使用感。手書きメモである「メモ」アプリと、専用ペンの使い勝手は好印象だ。「スタイラスでタブレット端末に手書きする」という観点で言えば、静電容量式タッチパネル(iOS端末やAndroid端末のほとんどがこのタイプ)よりもずっと快適に「手書きできる」と思う。要は「ペン先が触れたところのみ線が書かれる」ので、鉛筆やボールペンと同様、手のひらを画面上に置いた自然なスタイルで書けるのがラクだ。
ただ、EA800は「ワコムEMRテクノロジー搭載で256段階の筆圧感知を実現」しているデバイスではあるが、アスースの製品紹介ページ(
と言うのはまず、EA800本体では「筆圧が入った軌跡の表示/表現は行われない」ようであること。どのペンツールでどう手書きしても、各ペンツール毎の一定の太さの線になってしまう。ペンツール種類や色の濃さを逐一変えて描けばイラストが描けるかもしれないが、ぶっちゃけそういう用途に向く端末/アプリではないと思う。
もうひとつ、EA800はペン入力に対する追従性がイマイチ速くない気がする。殴り書きのようにやや高速&乱暴に書くと線が乱れたりしがちであり、ペンによるタップ操作もときどき反応が鈍いことがある。
また、ペンをやや意識的に上げ下げするようにしないと、これまた線がつながったり誤操作になったりしがち。全体的に「少しゆっくりめ丁寧めにメリハリを効かせてペン先を画面に当てる」ようにしないと、思い通りに書いたり入力したりできないことがある。
なお、筆圧に関しては、EA800をPCに接続して「PCのグラフィックソフトなどの入力用タブレットとして使えば相応の筆圧で入力できる」のであった。Photoshopで試してみたらフツーに筆圧を入力できた。ただ、ペンタブレットとして考えると、ワコムの今時的タブレットの機能や性能には及ばないEA800ではある。
てなビミョー感もあったりするわけだが、しかしこの「メモ」アプリと専用ペンの使い勝手、紙にメモを取る代わりにEA800を使うにおいて悪くない。「十二分には高速と言えないタブレット」を使っていることを頭の片隅に入れて「やや余裕をもって手書きする」ことに慣れれば快適に使えるようになると思う。
そうして使うEA800は、いつでも何ページでも手書きできる大きめメモ帳となり、画像メモを入れ込むこともでき、前述のとおりEvernoteとの連携も手軽。Wi-Fi接続環境さえあれば、データ(手書きメモはGIF画像となる)をスマホなどと共有できる強力な手書き入力手段になるようにも思う。また「イラストを描くには向かない」と前述したが、ラフスケッチや図などを描くくらいなら応用も利くだろう。
それともうひとつのデジタルメモ機能である「テキストメモ」だが、これは、ん〜、個人的にはイマイチであった。ハッキリ言っちゃうと、専用ペンとソフトウェアキーボードを使って軽快に入力するのが難しい。理由としてはまず、前述のようにペンの反応が鈍いときがあること。これによりタイプミスしがち。それから予測入力候補表示があまり役立ってくれない。EA800にはひらがなの手書き認識機能があるが、ひらがな手書き→イマイチな予測入力候補表示→やっと入力、と疲れがち。漢字は中文での手書き認識をしてくれるので、工夫すれば入力効率を高められるが、ん〜、そんな苦労をするなら……素直にスマホ使っちゃう俺である。
あと、テキストのメモを書けるということで期待していたことがある。microSDカードなどを経由して、ほかの端末で書いたテキストファイルをEA800上で扱えたら嬉しいナ、と。結果、そういうコトはできないのであった。あと、どうもEA800の「テキストメモ」で作ったテキストファイルを取り出す方法は、PC経由のみっぽい。「EA800←→microSD/SDHCカード←→ほかの機器」てな感じでファイルをやりとりできれば、いろいろ応用が利くと思ったのだが、残念ながらできない。このあたりの「EA800汎用妄想」の多くが単なる妄想で終わる結果となった。
それから「Reader」アプリ。EA800を電子書籍リーダーとして使える機能だが、これもまあ悪くない。EPUB/PDFへ手書きコメントなどを入れられる機能も悪くない(ただし拡大倍率を変更するとコメントなどが見えなくなったりするし、コメント入りEPUB/PDFをそのままPCに転送する公式の手段は現在ナイ)。
使えば使える「Reader」アプリなんだが、正直言っちゃうと、ほかの端末でもできますな、このくらいなら。また機能的にも大きな強みみたいなモノは感じられないので、EA800を敢えて電子書籍リーダーとして使うというシチュエーションが見えにくかった。
あと、ほか諸々のアプリ。これまたハッキリ言ってしまうと「どれも、あってもなくてもいい」的なレベルの使用感だった。「Webブラウザー(体験版)」は描画などが遅く、今時的サイトの多くで表示完了までに待たされる。サイトによってはブラウザ自体が落ちることも少なくなかった。「電卓」アプリはフツー。「辞書」アプリは使えなくはないが内容が簡素過ぎで残念感アリ。「ミュージックプレーヤー」アプリは「MP3ファイルを再生できるだけ」というレベルのものだが、ほかの作業をしつつ好きな曲を聴くくらいの用途なら使えなくはない。「Bubble Breaker」や「数独」といったゲームアプリは、ときどきは暇つぶしにいいが、スマホを使えばもっとリッチでゴージャスな同系統ゲームを多数楽しめるとかいう現実があるし……、みたいな。
■ EA800はPC連携が必須?
EA800を使っていて何度も感じたのは、「ここでもEA800とPCを同期させる必要があるのか」ということ。結論から言って、EA800の各機能をしっかり使うには、EA800とPCのやや頻繁な同期(PCの母艦化)が必要だと思う。
EA800で作った手書きメモ(「メモ」アプリ)だけは、EA800→Evernoteへダイレクトに送信という出力方法がある。ので、「メモ」アプリだけ使っているぶんには、EA800をPCと接続しなくても大きな不都合は置きにくい。
でも、EA800でやや複雑なことをアレコレし始めると結局、PCとの同期(USB接続)が必要になりがちだ。たとえば、インタビュー取材のようなコト(会話の録音やメモ)をEA800で行う場合、EA800の「メモ」と「音声メモ」を同時に使えば可能だ。が、その後に録音を聞きつつメモ書きを見つつ、内容をテキストに起こそうとすると……。メモ書きはEvernote経由でPCに送れる。だが、録音はそうはいかず、結局、PCとEA800をUSB接続して録音を同期(転送)することになる。
EA800とPCとの同期は難しいことではない。EA800をPCにUSB接続すれば、EA800内にあるEee Note Syncアプリケーションがインストールされ、同期の準備完了となる。あとはEee Note Syncを使ってEA800とPCを同期させればいい。同期と言っても、EA800←→PC間でファイルを転送するという操作だ。
要はナニが言いたいのかと言えば、ちょっとテキストファイルをEA800上で閲覧したいとか、EA800上のデータをPCで閲覧したいと思うと、多くのシチュエーションでEA800とPCをUSB接続してEee Note Syncを起動して同期させる必要が出てきて煩雑だということだ。Wi-Fi対応なんだから各ファイルをメール添付とかクラウド経由とかでやりとりさせてよ〜ん、そこまで行かなくてもせめて全ファイルをmicroSD/SDHC経由でファイルのやりとりさせて〜、とか思うのであった。
ちなみに、microSD/SDHC経由では、EPUB/PDFファイル(カード上の[book]フォルダー)、MP3ファイル([music]フォルダー)、JPG/BMP/GIF/PNGファイル([画像]フォルダー)に限ってやりとりできるようだ。
ともあれ、EA800のキモだと思われる手書きメモ機能はけっこー使えるのだ。率直に言えば、デジタルペンやBoogieBoard ripなどと比べると「ヒッジョーにコストパフォーマンスの高い手書きガジェット」だと感じる。実際、イイ感じで手書きできて、もちろん保存できて、表示や検索までデキる。
これでPC/EA800間のファイルのやりとりなどがさらに自由になったら、EA800はいろいろなデバイスの中核としての役割が増えると思う。「EA800で手書きして、そのデータをほかの端末で利用」とか、「microSD/SDHCに入れたファイルをEA800で閲覧、さらに手書きコメント加えてほかの端末で流用」とか。その観点において、現在のEA800の仕様はモッタイナイという気がする。独自路線からくるスタンドアロン感が、EA800をマイナーなものにしているように思う。
でもまあ、わりと安価に購入でき、比較的に快適に手書きメモを書きまくって閲覧しまくれる端末として、EA800は非常に興味深い存在。なので興味のある方はぜひ実機に触れてみてほしい。
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