[Our Favorite Knit]ニットの基礎知識[化学繊維の基礎知識]
化学繊維の基礎知識
ここではレーヨンをはじめとする化学繊維(化繊)や合繊繊維(合繊)についての基礎知識をまとめています。
化学繊維とは?
一般に化学繊維とは、天然繊維と異なり人工で作られる繊維のことを指し、人造繊維と呼ばれることもあります。
日本では、Chemical Fiberからきた「化学繊維」という呼び方が一般的です。
そして化学繊維は、人の手がどの程度加えられているかによって、再生繊維・半合成繊維・合成繊維などに区分されます。
また、化学繊維を「化繊(かせん)」、合成繊維を「合繊(ごうせん)」と対置して考える呼び方もあります。
この場合の化繊はレーヨンやキュプラなどの再生繊維のみを指し、合成繊維も含めて指すときは化合線という呼び方をします。
が、これは正確な呼称ではなく、合成繊維も含めて化学繊維と考えるのが一般的です。
レーヨン
レーヨンは人間の手で作り出された最初の化学繊維です。 繊維は綿や麻、絹や毛など天然繊維ばかりでしたが、次第に人間の手によって繊維を作り出したいという考えが出てきました。
特にヨーロッパでは絹(シルク)への憧れから人造の絹に対するアイデアと研究が進められ、ついにレーヨンが生み出されたのです。
1844年、フランスのシャルドンネ伯が硝酸繊維素から人工絹糸を取りだし、パリ大博覧会に出品して好評を博したのがその始まり。
レーヨンは木材パルプを原料とし、木材の中にある繊維素(セルロース)を取りだして繊維とします。
綿や毛が最初から繊維の状態になっているのに対し、レーヨンは木材に薬品を加えることで繊維素を取り出し、繊維にするのです。
このように繊維ではない他の形、例えば木材などに含まれる繊維素を取りだして繊維にするものは、「再生繊維」と分類されます。 再生繊維には、レーヨンのほか、ポリノジックやキュプラ、リヨセル、テンセルなどがあり、その特長は合成繊維よりもむしろ天然繊維に近いものがあります。
これはもともと天然の繊維素から作り出される繊維だからと考えてよいでしょう。
なお、現在生産されているレーヨンのほとんどがビスコースレーヨンです。
レーヨンの特長
・吸湿性が高い
吸湿性は、なんと綿よりも優れています。
よく湿気を吸うので、さらっとしてインナーや裏地に向いています。
・染色性が高い
染料によく染まり、発色もきれいです。ただし強さはさほどなく、特に濡れると強度が低下します。
また織物にした場合、シワがよりやすく風合いもあまりよくありません。
・混紡交織に適している
レーヨンの需要が高い理由は、コストが有利で、他の繊維と馴染みが良く、混紡交織に適しているから。
ウールやシルクとの交織は、コストを抑えたモノづくりを可能にします。
また合成繊維の吸湿性の低さや染色の困難さをカバーする為の使いかたも多くされます。
モダールとは
モダールとはオーストリアのレンチング社が開発した高品質レーヨンの一種で、パルプを原料としてつくられるセルロース繊維。
製造工程も地球環境にもやさしく、シルクのような質感でしっとりとした肌触り、また吸湿性、放湿性、吸水性を併せ持ちます。
フィラメント(長繊維)とステープル(短繊維)、混紡
レーヨンにはフィラメントとステープルとがあります。
フィラメントとは絹のように細長く連続した繊維をいい、ステープルとは木綿や羊毛のようにわた状の短い繊維をいいます。
そして、2種以上の異なるステープルを混ぜ合わせて紡績することを混紡といいます。
フィラメントは服地や裏地などに、ステープルはカーテンや織物製壁紙などの材料にも使われます。
ポリノジック
ポリノジックの原料はレーヨンと同じく木材パルプですが、繊維を作り出す考え方と方法が異なります。
原料綿では非常に近い繊維ですが、繊維としての性能も異なる為、レーヨンと区別され家庭用品品質表示法でも独立した表示が行われています。
ポリノジックの特長
・吸湿性が高く、よく染まる
綿のような風合いで、吸湿性がよく、染色性も高いです。
・伸び縮みしない
荒っても伸び縮みせず、寸法安定性に優れています。
衣類にした場合も型崩れもしにくいです。
・強くてコシがある
綿に相当する強さがあり、特に濡れた時の強さがレーヨンよりも優れています。
織物にした場合、コシが強くシャリ感をもたせることもできます。
また強度があるため細番手の糸を引くこともでき、繊細な織物をつくることも可能です。
・美しく汚れがつきにくい
繊維の断面が丸く表面が滑らかなのでシルクのような光沢があります。
また表面の滑らかさによって汚れもつきにくく、織物にした場合、コシが強くシャリ感をもたせることもできます。
強度があるため細番手の糸を引くこともでき、繊細な織物をつくることも可能です。
それが成長するにつれて何がshink
・価格面での経済性
綿などの天然繊維は細番手になればなるほど高価になりますが、ポリノジックは細番手の為、綿ほどは価格が変わりません。
ですから、細番手使いの製品になればなるほど、綿に比べ割安になります。
また、トリコットやジャージなどにも、光沢、色彩、感触、コシの強さで独特の味を出しています。
リヨセル(テンセル)
レーヨンと同じ木材パルプを原料としていますが、パルプの中のセルロースを有機溶剤で直接溶かした後繊維に再生します。
このように紡績方法が他の再生繊維と異なるため、F・I・S・B・A(国際化学繊維規格協会)により「リヨセル」と命名されました。
英国のコートルズ社はこれを「テンセル」と名付け、オランダのレンチング社は「レンチング・リヨセル」として販売しています。
リヨセルの特長
・濡れに強く、染めに弱い
従来の再生繊維は乾燥時に比較して濡れた時の強力が20%~50%低くなりましたが、リヨセルはこの低下が10%以下と言われています。水による収縮性も少ないですが、染色性には劣ります。
キュプラ
キュプラは再生繊維の一種ですが、レーヨンレーヨンやポリノジックと違って原料の大部分がコットン・リンターです。
コットン・リンターとは綿の実から綿花(リント)を採ったあとに残る短い繊維で、単にリンターとも言います。
これを溶解して紡糸したのがキュプラです。静電気の発生も極めて少ないです。
レーヨンよりも細く、同じ太さ(デニール)で比較するとフィラメント数が多く、美しい風合いを持っています。
しなやかで肌触りがよく、トリコットや薄地の生地として多く使われています。
キュプラの特長
・絹のように美しい
繊維の断面が正円形で美しい光沢があり、絹に似た外観を呈しています。
肌触りも絹に似ていると言われ、繊維が細くしなやかです。
・強く、耐摩擦性にも優れる
相当に強く、特に濡れても強さが低下せず、耐光性や耐摩擦性ともレーヨンよりすぐれています。
・吸湿性や染色性に優れる
キュプラも他の再生繊維と同じく、吸湿性や染色性などにすぐれているといった特徴があります。
吸湿性と染色性の他に、絹のような美しさ、また強さも備えているので薄手の高級織物を作ることができます。
糸は強撚糸にしてクレープ織物や縮緬などに多く使われています。
アセテート
アセテートは、レーヨン・ポリノジック・キュプラなどの再生繊維と異なり、半合成繊維です。
レーヨンなどの再生繊維が天然の繊維素を薬品でいったん溶解したあと再び繊維として取り出したものであるのに対し、アセテートは天然の繊維素だけではなく、酢酸という化学薬品を加えて作られるものだからです。
これを溶解して紡糸したのがキュプラです。静電気の発生も極めて少ないです。
アセテートに使う繊維素は純度の高いリンターや木材パルプです。これに酢酸を結合させたものが酢酸繊維素(酢酸セルロース)で、これを溶解して紡糸したのがアセテート・フィラメントです。
アセテートはフィラメントがほとんどですが、一部ステープルにもなります。
普通アセテートのほかに、酢酸の割合を多くしたトリアセテートがありますが、これは熱に強くプリーツ性がよく、吸湿性が少ないが、シワになりにくいといった特徴を持っています。
アセテートの特長
・最大の特徴は美しさ
アセテート・フィラメントには絹のような感触と優雅な光沢があり、『美の繊維』と呼ばれています。
コットン・レーヨン・キュプラなどに比べ軽く、重さはウールやシルクと同じくらい。
この軽さがアセテートの豊かな風合い、感触を作り出しています。
・適度な吸湿性、保温性、弾力性
アセテートは適度な吸湿性と保温性、弾力性を持っています。
染めやすさもあり、染めると発色が鮮やかできれいな色が付けられます
また熱可塑性があるのでプリーツが消えにくく、プリーツスカートなどにも多く使われます。
・虫やカビに強い
バクテリアやかびにたいする抵抗性があり、虫に侵されにくいです。
ただし、染み抜きなどに使う溶剤には溶けてしまうため、これらの扱いには注意が必要です。
ナイロン
ナイロンはポリエステル・アクリルと並んで3大合繊の一つとして数えられます。
それだけ生産量も多く、性能にも優れ大衆化している素材です。
オペアンプを使用する方法
ナイロンは工業化に成功した合成繊維としては始めてのものです。
1938年、アメリカのデュポンが研究を続けてきた合成繊維をナイロンと命名し工業化に踏み切りました。
再生繊維とは異なり、原料に天然の繊維素を使わず、絹のたんぱく質に近い物質から繊維を合成する研究が進められ、その結果ナイロンが誕生しました。
ナイロンは絹に最も近い高分子を石炭と水と空気から作り出した最初の合成繊維で、当時のキャッチフレーズは、
「石炭と空気と水から作られ、蜘蛛の糸より細く、絹よりも美しく、鋼鉄よりも強い」でした。
ナイロンの種類
ナイロンは製法により、様々な種類があります。
日本で多く生産されるのが「ナイロン6」。またやや耐熱性にすぐれる「ナイロン66」も作られています。
この6や66という数字は化学組成の違いを示す符号です。
ナイロンの特長
・非常に強い
戦後強くなったものの例えに、よく「女王と靴下」があげられますが、実はこの靴下とはナイロンストッキングのこと。
ナイロンは他の合成繊維に比べても摩擦や折り曲げに対して強く、摩擦強度は綿の約10倍あり、
濡れても強さはほとんど変わりません。。
・軽くて弾力性がある
比重は1.14で生糸の80%、綿の70%と軽く繊維の中でもその軽さはトップクラスです。
また他の繊維に比べ弾力性も高く、薄くて軽く柔軟性に富んだ織物や編物を作ることができます。
織物にしてもシワがよりにくく、染色しやすいなどの特長もあります。
・薬品、油に強く、カビや虫の害も無い
一般の薬品や油に強いのでドライクリーニングも自由です。
また水に濡れてもほとんど吸水しないため乾きが早く、取り扱いが簡単です。虫に食われることありません。
・熱可塑性がある
熱可塑性のため、適正なセットをすると伸び縮みしたり、型崩れをすることがほとんどありません。
また、その性質を利用してテクスチャードヤーンを作ることが出来ます。
テクスチャードヤーンとは、ナイロンの熱可塑性を利用してフィラメント糸にウールのような外観と感触を与えたものです。
・吸湿性が少なく静電気がおきやすい
天然繊維をはるかに凌ぐ強さや軽さなどの特徴がある反面、
吸湿性が少なく、静電気によるほこりがつきやすいなど合成繊維一般のウィークポイントも持っています。
しかし、これらの弱点について、加工技術の進歩と改良が進んでいます。
ポリエステル
ナイロン、アクリル、ポリエステルの三大合繊の中で最大の生産量を誇るのがポリエステルです。
その昔、シワがよらず洗ってすぐ着られるポリエステルの登場は、主婦からアイロン掛けの負担を軽減したと言われています。
ポリエステルにはPET、PTT、PBTなどの繊維が含まれますが、最も生産量が多いのがPET(ポリエチレンテレフタレート)で、通常のポリエステルといえば、このPETを意味します。
ちなみにペットボトルに使われている原料もPET樹脂で、PET樹脂を繊維化したものがポリエステル(PET)繊維です。
ポリエステルはフィラメント、ステープルともに大量に生産されています。
ナイロンの比率がフィラメントに片寄り、アクリルがステープルに片寄っているのに比べると非常にバランスの取れた生産構造ということができます。
これはポリエステルが織物や編物、厚地や薄地などあらゆる衣料用途に向いた汎用性の高い繊維であることを物語っています。
また、ポリエステルは混紡交織性にもすぐれています。ですから100%以外にも他繊維とのブレンドにも多く使われています。
ポリエステルの混紡の特長は、両方の繊維の特徴をそのまま生かしながら、一方ではそれぞれの欠点を消しあうことでメリットの高い商品作りが可能です。
ポリエステルの特長
・非常に強い
ナイロンと同じように非常に強い繊維です。特に結節強度、摩擦強度に優れ濡れても強さは変わりません。
また、合成繊維は一般に熱に弱いのですが、ポリエステルは熱に強く、軟化点は238~240℃です。
・シワになりにくい
弾性度は最もウールに近く、乾いたときはもちろん濡れてもシワになりにくい性質を持っています。
また、伸び縮みも少なく型崩れしません。
・すぐれたイージーケア性
ほとんど水を吸わないので、洗ってもすぐに乾きます。しかもシワがよりにくく寸法安定性がよいので、ほとんどアイロン掛けも要りません。
このように洗ってすぐ着られる性質を「ウォッシュ・アンド・ウェア性(W&W性)」といいます。
・薬品、油に強く、カビや虫の害も無い
酸、アルカリ、漂白剤、有機溶剤などの薬品に強く、ドライクリーニング可能です。
また虫やカビ、バクテリアなどに侵されません。
・熱可塑性がある
熱可塑性があるのでプリーツや折り目は洗ってもとれません。
・独特のシャリ感があり、ハリとコシがある
合成繊維は一般的につるつるしたヌメリ感がありますが、ポリエステルは独特のシャリ味と乾いた感触を持っています。
また繊維にハリとコシがあるので、薄地織物にしたときはシャキッとした素材感になります。
PVD仕上げは何ですか
アクリル
アクリルは化学繊維の中では羊毛に似た性質をもっている、ふんわり暖かな肌触りのやわらかく軽い繊維です。
ナイロンをシルクタイプ、ポリエステルをコットンタイプとすると、アクリルはウールタイプになります。
ふっくらとしてやわらかく、弾性や保温性が良いのが特徴です。
アクリルの特性はニットに向いており、ニットによるアウターの実現にも貢献しました。
現在ではニット以外にも織物分野をはじめ、毛布、インテリアなど様々な方面で活躍しています。
アクリルの原料はアクリロニトルですが、これだけでは繊維になりにくいため、塩化ビニルや酢酸ビニルなどを加えて紡糸します。
そして、家庭用品品質表示法では、アクリロニトリルを主成分とし、その比率が50%以上のものを「アクリル」、50%未満40%までのものを「アクリル系」として区別します。
アクリルの特長
・かさ高でソフト、軽くて暖かい
繊維がかさ高くふっくらと柔らか。ウールのようなソフトな感触があります。
ウールやポリエステルに比べ軽く、重さはナイロンと同じくらい。
また、アクリルは温感が高く、暖かいタッチを持っています。
・シワになりにくい
ウールと同じように弾性回復性がよく、あまりシワになりません。
・すぐれたイージーケア性
ほとんど水を吸わないので、洗ってもすぐに乾きます。
しかもシワがよりにくく寸法安定性がよいので、ほとんどアイロン掛けも要りません。
このように洗ってすぐ着られる性質を「ウォッシュ・アンド・ウェア性(W&W性)」といいます。
・紫外線に強い
多くの繊維は紫外線に長くさらすと、強度が低下したり変色してしまいますが、アクリルはほとんど変わりません。
繊維の中では非常に耐候性に優れています。
・イージーケアでカビや虫の害も無い
酸、アルカリなどにも強く、虫やカビにも侵されません。
また、水をほとんど吸いませんから、洗ったあとの乾きも早く扱いが簡単です。
・熱可塑性がある
熱可塑性があるのでプリーツがよくつきます。熱セットによってはバルキー糸を作ることができます。
・発色性がよい
非常に発色性がよく、美しい色に染まり、鮮やかな発色が得られます。
ビニロン
ビニロンは日本で誕生し工業化された合成繊維です。
アメリカでナイロンが発表された時期とほぼ同じ時期に日本で工業化された合成繊維の草分け的存在です。
合成繊維の中では最も吸湿性があり、綿に似た繊維といわれています。
ビニロンの特長
・軽くて丈夫
合成繊維の中では、ナイロンよりは重いですが、ポリエステルやレーヨンなどに比べ軽く、保温力も相当あります。
また、非常に強く丈夫な繊維で、特に摩擦に対してすぐれた抵抗力があります。
・吸湿性がある
一般的に、合成繊維は吸湿性が無いか、あってもごくわずかですが、ビニロンは合成繊維の中では吸湿性に富んでいます。
・すぐれたイージーケア性い
ほとんど水を吸わないので、洗ってもすぐに乾きます。
しかもシワがよりにくく寸法安定性がよいので、ほとんどアイロン掛けも要りません。
このように洗ってすぐ着られる性質を「ウォッシュ・アンド・ウェア性(W&W性)」といいます。
・薬品に強く、カビや虫の害も無い
酸、アルカリに強く、特にカビやバクテリアに対する抵抗力が著しいので海水に浸していても腐食しません。
ポリプロピレン
ポリプロピレンは石油精製の際に得られるプロピレンを重合して作る繊維です。
ポリプロピレン出現当時は、「夢の繊維」「最後の繊維」と騒がれました。
石油の排ガスから作ることができ、水に浮くほど軽く、しかも強いといった点から、夢のような繊維と言えるでしょう。
しかし、製法や性能は確かに画期的でしたが、衣料素材としてはあまりおもわしくなく、カーペットや産業資材の面で強みを発揮しています。
また、繊維以外にもプラスチック製品として多くの需要があります。
ポリプロピレンの特長
・軽くて丈夫
あらゆる繊維の中で最も軽いとも言われ、比重は0.91。水に浮きます。
また、非常に強く水に濡れても強さは変わりません。
・水を吸わない
ほとんど水を吸わないため、洗ってもすぐ乾き濡れても重くなりません。
・薬品に強く、カビや虫の心配が無い
強酸、強アルカリなどの薬品に特に強く、虫やカビの心配もありません。
・薬品に強く虫の害も無い
酸、アルカリに強く、特にカビやバクテリアに対する抵抗力が著しいので海水に浸していても腐食しません。
・熱可塑性がある
熱可塑性を利用した加工が容易です。しかし、熱で変形しやすいのでタンブラー乾燥は避け、アイロンをかける場合は低音であて布をしてください。
ポリウレタン
ポリウレタンはウレタンと同じ成分からできた弾性繊維です。
ポリエステルやポリエーテルにジイソシアネートを加えて重合し、できたポリマーを溶かして紡糸したものです。
アメリカではポリウレタンを含む弾性繊維をスパンデックスといいますが、日本の家庭用品品質表示法ではポリウレタンとなっています。
ポリウレタンは伸縮自在の合成繊維で、引っ張ればゴムのように伸び、放せば元に戻ります。
ですからポリウレタンを使った衣料はからだにフィットし、ストレッチ性があるため、動きやすく着用して不快感がありません。
その性質上100%使いの製品はなく、他の繊維と混ぜて利用されます。 ナイロンやポリエステルと一緒にポリウレタンを編みこんだ2wayトリコットと呼ばれる布地はタテ・ヨコ方向によく伸び、水着やスポーツウェアなどに使用されています。
ポリウレタンの特長
・伸縮性と弾性回復性
ゴムのように良く伸びます(400%~800%)。放すと元に戻る瞬間回復性はゴムと異なり、圧迫感を感じさせず気持ちよくカラダにフィットします。
・強くて丈夫、しかも軽い
従来のゴム糸に比べはるかに強く、紫外線や熱にも侵されにくい性質を持っています。
しかも比重1.0で繊維の中で一番軽いと言われるポリウロピレンの次に軽い繊維です。
・力が強く、細い糸ができる
引っ張る力が強く、ゴム糸より細い糸で間に合います。また、ゴム糸よりはるかに細い糸ができます。
・よく染まる
ゴム糸は染め方がむずかしいですが、ポリウレタンは染まりやすい性質を持っています。
・薬品に強く洗濯も自由
汗や海水にも強く家庭洗濯でもドライクリーニングでも大丈夫です。
ゴムに似てゴム以上の性質をもった繊維、それがポリウレタンです。
他の繊維との組み合わせ
・ベアヤーン(裸糸)
ポリウレタンから直接フィラメント状の糸にしたものです。
伸縮性はポリウレタンの物性そのままで、ファンデーションのパワーネットや水着用のトリコットに使います。
・カバードヤーン(被覆糸)
ポリウレタンを芯にナイロン、レーヨンその他をカバーリングした糸です。ストレッチ織物や紐類、靴下、パンティストッキングなどに使います。
・コアヤーン(芯紡糸)
ポリウレタンを芯にウール、綿、アクリル、ポリエステルなどの短繊維で包んで紡績したものです。
紡績糸のため、普通の綿糸や毛糸と同じ太さのものが自由にでき、細い糸で薄手の生地をつくることもできます。
その他の化学繊維
繊維には上に挙げた種類のほかにも、様々な種類があります。
特に化学繊維は、分子構造を変えることで違ったタイプの繊維を作ることができるので種類が豊富です。
その他の化学繊維
・プロミックス
天然蛋白(ミルクカイゼン)とアクリロニトリルを特殊な方法でグラフト重合させて作った蛋白性繊維。
半合成繊維に分類され、シルクのような風合いがあり軽やかです。
・ポリ塩化ビニル
石炭と石油からできた合成繊維。
かさ高で保温性があり、薬品や日光に強いですが、熱に弱い為アイロンがけをする衣服には不向きです。
・ポリエチレン
石油を原料とします。強くて軽く薬品に侵されず電気絶縁性が大きいので、各種工業資材として使われています。
・ビニリデン
石油と石炭からできた合成繊維。耐薬品性の非常に良い強い繊維です。
・ポリクラール
ビニロン原料のポリビニルアルコールと塩化ビニルを半々に混ぜてつくった合成繊維。耐薬品性と防炎性に優れています。
・アラミド繊維
全芳香族ポリアミドを液晶紡糸したもので、メタ系は高耐熱性にすぐれ、パラ系は高強力、高ヤング率の特長があります。
・超強力、高弾性折エチレン繊維
超高分子量ポリエチレンを特殊なゲル紡糸法で高延伸してつくった繊維。軽量で強度、弾性率が高く、耐衝撃性を持っています。
・ポリフェニレンサルファイド繊維
高重合度結晶性高分子繊維で高温下におけr耐薬品性に優れています。
・その他
海藻類からできたアルギン酸繊維、牛乳蛋白を原料にしたたんぱく質繊維などがあります。
無機質繊維
・ガラス繊維
普通のガラスと同じ原料からつくった繊維。熱や電気の絶縁性に優れ、燃えることがありません。
不燃カーテン、防音・防熱、保温材として使われ、そのほか特殊な用途にも使われます。
・金属繊維
金、銀、アルミニウムなどを加工した糸。ラメはアルミ箔を使った金属繊維です。
・炭素繊維
セルロース繊維、アクリル繊維などを焼き炭化させた繊維です。耐熱衝撃性にすぐれ宇宙航空をはじめ工業用に使われています。
・その他
ロックウールは岩石からとった綿毛状の繊維です。
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