2012年5月13日日曜日

ハイブリッドカー - Wikipedia


ハイブリッドカー (hybrid car) は、異なる2つ以上の動力源を持つ自動車である。

作動原理または利用するエネルギーのいずれかが異なる複数の動力源をもち、状況に応じて単独あるいは複数の動力源を用いて移動する車両である。自動車に限らず、内燃機関や電力を用いるかも問わないという意味を込める場合には、ハイブリッドビークル(hybrid vehicle)と呼ぶ。日本で一般的にハイブリッドカーと呼ばれる車両は内燃機関と電動機を動力源として備えたハイブリッド電気自動車(hybrid electric vehicle・HEV)である。直接充電できるものはプラグインハイブリッドカー(plug-in hybrid vehicle・PHV)と呼ばれる。

後述するシリーズ・ハイブリッドと誤解されやすい電気駆動という別概念がある。これは駆動系(パワートレイン、動力伝達機構)を電気にしただけのものである。駆動用の発電機を回すために内燃機関を用いる移動体を「ガスタービンエレクトリック車」や「ディーゼルエレクトリック車」などと呼ぶが、これらは発電により得られた電力を蓄えるバッテリーを有しておらず、ただ単に発電機で得られた電力でモーターを直接駆動しているだけのシステムであるため、内燃機関が停止すると走行できない。したがって走行は内燃機関のみに依存していると見なすことが出来るため、ハイブリッドビークルではないとされる。これらは「ガスタービン原動・エレクトリック駆動」、「ディーゼル原動・エレクトリック駆動」の略称である� ��

[編集] ハイブリッド二輪車

人力によるペダル動力に加え、電気モーターもしくはエンジンを併用できるようにした自転車。かつて販売されていたモペッド(motorized bicycle)のようなペダル付オートバイのほか、電動アシスト自転車の一種であるベロタクシーなどがある。ペダル付オートバイは日本では衰退したが、西欧諸国では現在でも製造販売されている[1]

2004年に本田技研工業がハイブリッドシステム搭載の50ccスクーターを開発している[2]

[編集] ハイブリッド自動車

日本や北米ではエンジンの回転力を直接動力として利用することに加え発電機を回すために利用するタイプのハイブリッド自動車が多く存在する。動力源は主にエンジンであり、補助的に二次電池や回生ブレーキを用いる。

自動車と鉄道の中間形態として架線式電気自動車(トロリーバス)とハイブリッドバスの利点を合わせた架線式ハイブリッドトロリーバスなどがある。(詳細:トロリーバス参照)

自動車が普及を始めた19世紀後半においては、赤旗法による英国の蒸気自動車の開発停滞にもかかわらずガソリン自動車の性能は蒸気自動車 や電気自動車に劣っていた。特に、蒸気貯めに圧力を蓄えたり鉛蓄電池に電気を蓄えたりするため始動トルクが大きく、ニードル弁や抵抗器操作で無段階変速が可能な蒸気自動車や電気自動車に比べ、ノッキングなど低速性能が悪くアクセル・クラッチ・減速ギヤないしプーリー切替の同時操作を強いられるガソリン車の操作性は劣悪であり、複雑な精密機械であるトランスミッションの故障も多かったため敬遠された。

20 世紀初頭に出現した車軸を電力で回転させる自動車は移動に用いるエネルギー源として内燃機関のみを用いるためハイブリッドと呼ばない。サスペンションの動きに合わせた機械式駆動系が満足に作れなかったため電動機で車軸を動かしていた。第1次世界大戦を経て機械駆動系の信頼性向上とコストダウンが進展し、フォード・モデルTの登場によるガソリン車の急激な普及により市場から消えていった。

20世紀後半の1980年代になると導電性プラスチックポリアセチレンの発見に端を発する高性能なリチウムイオン二次電池や、小型で強力なモーターを可能にするネオジム磁石が相次いで日本で開発され、電気自動車に必要な技術が急速に発展した。

20世紀末からガソリンエンジンと蓄電池を搭載したハイブリッドカーが主に日本と北米で販売された。エンジンによる発電に加え回生ブレーキを併用し、主に低速時に電力を用いて走行することで内燃機関単独で走行するのに比べ燃費を向上させたものである。

2000年代後半になるとコンセントから充電できるプラグインハイブリッドカーが中国や日本で販売された。2008年の北京モーターショーでは中国メーカーがプラグインハイブリッドカーを発表し、2010年のジュネーブモーターショーでは欧米メーカーが相次いでハイブリッドカーを発表した。

[編集] ハイブリッド機械

[編集] ハイブリッド軍用車両

[編集] ハイブリッド鉄道車両

も参照。

鉄道は、古くから蒸気ディーゼル方式、ガス・エレクトリックや、ディーゼル・エレクトリックと呼ばれる方式が実用化されている。シリーズ式ハイブリッド(エンジンで発電し、モーターで駆動する)とこの方式の違いは、発電した電力を蓄えておくバッテリーを持っていないことで、エンジンが稼働していなければ走行はできない。

環境負荷の低減を目指した近年の車両として、JR東日本が2007年7月31日から小海線で旅客列車に使用しているJR東日本キハE200形気動車がある。これは同社が2003年に試験用として開発した気動車、NEトレイン(キヤE991)の実験結果を参考に計画したもので、リチウムイオン二次電池を屋根の上に載せ、車体床下にディーゼルエンジンと発電機、それに車輪を駆動するモーターを搭載している。ディーゼルエンジンの動力は発電のみに使われ、発電された電気でモーターを駆動するシリーズ方式である。

NEトレインは小海線でテストが行われ、キハ110系と比較して燃料消費が平均10%、最大で20%減少した。また、有効回転域の狭いディーゼルエンジンを搭載する気動車では必須だった変速機が不要となり、整備コストも低減している。

2007年10月 JR北海道はモータアシスト方式ハイブリッド気動車の試験車として、同社キハ160形気動車を改造した。こちらはディーゼルエンジンでの走行を主としたもので、電子制御自動変速式のデュアルクラッチトランスミッションを搭載しており、アシストモーターと変速機の断続を行うクラッチも電子制御化されている。

2010年3月、JR貨物は老朽化が進行しているDE10型ディーゼル機関車の後継車種として、エンジンを完全に発電専用に置き換え、大容量リチウムイオンバッテリーを駆動および蓄電用に使用するシリーズハイブリッドシステムを装備した入換用機関車HD300型ハイブリッド機関車の試作車を公開した。今後約一年に渡って各種試験を実施した上で量産車を登場させるほか、ハイブリッドシステムを搭載した本線用機関車の開発を進め、老朽化した機関車の置き換えを図るとしている。これらは2011年度事業計画の一環として実施される。

[編集] ハイブリッドシステムの種類と特徴

発電と駆動の方法により、「シリーズ方式」、「パラレル方式」、「スプリット方式」に大別できる。最も構造が単純なシリーズ方式が世界的には主流である。なお、シリーズ方式とパラレル方式を融合した「シリーズ・パラレル併用方式」もあるが、大型自動車を含め試作車レベルでは存在するものの、市販車としては未だに登場していない。


カワサキバルカン500からスパークプラグを削除する方法

[編集] シリーズ方式

概要
シリーズ方式(直列方式)は、エンジンを発電のみに使用し、モーターを車軸の駆動と回生のみに使用するもの。『エンジンを発電用の動力源として搭載した電気自動車』である。
実際の仕組みは、エンジンで発電機を駆動し、発生した電力を大容量バッテリーに一旦蓄え、その電力でモーターを駆動し、走行する。電気自動車の大きな欠点として、出先で充電設備を確保しにくい点、充電時間が長い点、1充電あたりの走行距離が少ない点などが挙げられるが、内燃車同様に燃料を補給するだけでこれらの欠点から解放される。
エンジンで発電しモーターで走行する方法自体は、ガス・エレクトリックやディーゼル・エレクトリックおよびターボ・エレクトリックと呼ばれる方式があり、これらは古くから鉄道・船舶で実用化された既に枯れた技術である。初期のハイブリッドカーはこれをベースとし、発電機とモーターの間に大容量バッテリーを追加する事で、エンジンと発電機双方の小型化と、エンジンの使用率低減が可能となり、効率が改善された。この様な事情から、設置スペースの問題を無視すればエンジン選定の自由度が最も高いシステムであり、コントロール面で劣るタービン系も採用できるのが当システム最大の特色でもある。
モーター駆動故に出力制御が容易で、通常の自動車に必須なトランスミッションが不要である事がメリットであるが、内燃車と電気車のシステムが共存するため、システム占有体積と重量が大きくなる事、エンジン動力を一旦電気に変換する際に発生する熱エネルギーのロスが多く、回生制御が働かないと効率が落ちる事がデメリットとなる。この点を補うため、マイクロガスタービンと小型超高回転発電機を組み合わせたものが試作されている。また、マツダでは、軽量化に加えエミッション低減のために、自社の技術を生かした水素ロータリーエンジンを使う試みもなされている。
実用例

[編集] パラレル方式

概要
パラレル方式(並列方式)は、搭載している複数の動力源を車輪の駆動に使用する方式。エンジンはトランスミッションを介して車輪の駆動も行い、同時に発電機の駆動も行う。蓄えられた電気エネルギーはモーターへと送られ、走行用として使われる。また、モーターは回生ブレーキにも用いられる。
エンジン出力 = トルク × 回転数の関係にあるため、エンジンの低回転時には十分なパワーが得られないばかりかアイドリングを含めて効率が悪く、排出ガスの浄化能力も落ちる。一方、モーターは起動時に最大トルクを発生するものが多いため、発進時や急加速時など、エンジンが苦手とする熱効率が悪く有害排出物の多い範囲をモーターに受け持たせるといった、両者の「いいとこどり」とも言えるのがパラレル方式である。
一般に、モーター1基で実現可能と言う重量面と、直接駆動が出来る故の効率面でシリーズ方式よりも優れているが、双方の動力源のメリットを活かすための構造や制御が複雑とされてきた。また、エンジンも走行する以上、通常の自動車と同じ多段変速機が必要で、この点がコストと重量の面で不利となる。
実用例
  • エンジンとモーターは完全分離:アウディ4輪駆動[3]
  • エンジンとモーターが同一軸:エンジンとモーターが直結のものと、切り離せるものがある。前者では、モーター休止によりエンジンのみの駆動が可能であるが、モーターのみでの駆動はできない。ただしホンダ・IMAシステムの一部車種は全気筒休止機構により、モーター単独での駆動が可能である。後者はモーター単独での駆動も可能である。
  • エンジンとモーターが別軸でデフに接続:エンジンおよびモーターがパラレルに配置され、それぞれが単独で車軸を駆動できる。大出力モーターが取り付け可能なため、大型車に向いているとされる。ダイムラー・ベンツ、フィアット、IVECOの大型トラックなど。
  • モーターアシスト: 電動四輪駆動
    • マイルド・ハイブリッド (THS-M) :信号待ちなどでの短時間の停車時と、発進時にエンジンを停止させることを目的としたシステム。モーターとしても働く36ボルトの専用オルタネーターを持ち、それがVベルトを介し、アイドルストップ時のエアコンコンプレッサーの運転、発進用モーター、エンジン再始動用スターター、通常発電機、回生発電機として機能する。
※ 日産自動車が開発し、同社とマツダの小型車に採用されるe-4WDシステムは、ガソリンエンジンの前輪駆動車の後輪にモーターアシスト機構を追加したものであるが、アシスト範囲が極めて限定的で、モーター専用のバッテリーも持っていないため、ハイブリッド車には含まれない。

[編集] スプリット方式

概要
スプリット方式(動力分割方式)は、エンジンからの動力をプラネタリーギアを用いた動力分割機構により分割(スプリット)し、発電機と車輪の駆動へ振り分けたり、エンジンとモーターからの駆動力を自由に合成することが可能な方式である。
発進時や低速走行時にはバッテリーに蓄えられた電気でEV走行、通常走行時にはエンジンを最大トルク近辺の燃料消費率の低い回転域で使用し、プラネタリーギアを介した発電機で同時にバッテリーへも充電を行いながら速度制御を行う。燃費悪化の原因となるエンジン出力の変化を極力抑えていることもこの方式の特徴である。
スプリット式は動力分割機構(遊星ギア)を用いて、発電機とモーターの回転制御を行う事でトランスミッションの役割を持たせる事が出来るため、従来型のトランスミッションは必要無い。制御範囲は広いが、エンジン・モーター・発電機の回転数の縛りは残るため、エンジントルクの直接利用は限られ、通常の速度域では発電機を介した電気駆動が駆動力の大部分を占める。電気駆動の際には必然的にエネルギー変換ロスが生ずるが、エンジンの高効率域を利用する制御になっているため、全体的な効率は高くなる。
他の方式に比べると部品点数が少なくシンプルであるが、動力分割機構の制御が非常に複雑で特許面の絡みもあり、上記の方式に比べ採用メーカーの数では少数派に属する方式である。ただし、制御の問題が解決されればトランスミッションを省くことのコストダウンと軽量化というメリットが生きるため、パラレル方式に比べ、商品化上の不利は少ないと言われている。当初は同じ排気量のオットーサイクルエンジン車に比べて動力性能で劣勢であったが、バッテリーとモーターの出力向上と制御の改良により、モーターの特徴を生かしたガソリンエンジン車以上の加速も可能となった。
実用例
  • トヨタハイブリッドシステム(THS):1997年にハイブリッド専用車プリウス用として登場。当車の大成功により、スプリット方式は販売台数から現在の主流(主にトヨタ車)となっている。
  • ツーモードハイブリッド(アドバンスド・ハイブリッドシステム2):2005年にGM、当時のダイムラー・クライスラー、BMWが技術提携し、開発。乗用車では2008年のシボレー・タホハイブリッド(SUV)を皮切りに、各メーカーより搭載車が販売されている。
  • BYD F3DM プラグインハイブリッド

エンジンの出力は高負荷運転を考慮して設定されているため、低速度では必ずしも効率は高くない。乗用車に広く使われるガソリンエンジンは、軽負荷では効率が著しく下がる。そこで低速域や軽負荷領域では効率の低いエンジンを停止して、電気モーターのみで走行することによって燃費の改善と、有害排出物の低減が出来る[4]

また、本来必要なエンジンより出力の小さいエンジンに電気モーターでアシストすることによって、それらを改善するという考えもある。さらに、自動車向きでは無く使えなかった種類の熱効率の高いエンジンを、電気モーター主力とする事で利用可能とした組み合わせもある。

[編集] エンジン

車両総重量に対して排気量が少なく出力が低いものや、アトキンソンサイクルエンジンなど、軽量化・高効率化したエンジンを使用することができる。

[編集] 回生ブレーキ

減速時に電動機を電磁誘導発電機として用いる事により運動エネルギーを電気エネルギーに変換して二次電池に蓄える。ハイブリッドカーに限らず新幹線のような電気鉄道で広く用いられているが、回生エネルギーを架線に返すので、同時に力行する電気車(電気機関車や電車)がないと有効に使えなかった。今では電気鉄道でも変電所の定置型二次電池に充電させ、いつでも回生を有効にすることが企画されている。

ハイブリッドカーに限らず電気自動車やソーラーカーなど、二次電池と電動機で走行する車両では「回生ブレーキ」でエネルギー効率を向上できる。より有効に回生電力を蓄えるため、より大容量の蓄電装置が必要になる。

[編集] 全輪駆動

付随輪にモーターを追加することで、トランスファー、センターデフ、プロペラシャフトが不要となるため、全輪駆動化も比較的容易である。

[編集] システムの複雑化による信頼性低下

ハイブリッド自動車は内燃機関とバッテリーを一台の車に搭載するため、全般に同程度の排気量のガソリン車と比較して15-20%ほど重量が増加する[5]


"ウィッヒ大陸では、ジャガーに住んでいる"

システムの複雑化は欠陥や故障等によるリコールの増加など信頼性の低下に繋がる場合があり[6]、重量の増加は燃費の悪化に加えタイヤや路面のダメージを増大させる。また、モーターやバッテリーにはレアメタルのほかコバルトなど産地が偏っている鉱物を利用するため価格が高騰しやすく、安定した資源確保が困難になることも懸念される。

また、通常のガソリン車であれば自走可能な軽い事故でもシステムがダメージを受けやすく自走不能となりやすいと言う声もある。

[編集] 環境負荷の増大

ハイブリッドカーは従来型の自動車(ここでは便宜的にガソリン車やディーゼル車などの内燃車とする)に対して部品点数が多くなるため、必然的に内燃車に比べ、製造・廃棄に掛かるコストがHV特有の部品の分だけ、環境負荷と金銭の両面で高くなる。それが故、「長期的に見ればプリウスはランドローバー・ディスカバリーより環境に悪い」との指摘もある。

特に問題となるのが専用のバッテリーである。まず製造という観点から言うと、そのバッテリーの原料(ニッケル)の採掘と精錬に大量の二酸化炭素を排出する。勿論その後の製品化・輸送の時点でも同じである。

また、バッテリーをリサイクルするにしても行程が長くなると言う問題がある。トヨタが公開しているPVによると、そのリサイクル行程は「一度全国の解体屋からバッテリーを愛知陸運に集め豊田ケミカルで解体・下処理・破砕、その後住友金属鉱山で精錬、プライムアースEVエナジーで製品化した後トヨタの工場で車両に搭載」・・・つまり全国→愛知県→愛媛県→静岡県→愛知県→全国・・・という、通常の自動車リサイクルでは考えられないほどの大掛かりな流れになっている。勿論バッテリーだけではなく、内燃車としてのリサイクル行程も必要になってくる。

そのため環境コスト(ライフサイクルアセスメント・ライフサイクルコスト)と言う観点で言えばメーカーが言うほど環境負荷の低下は期待できないとの批判も存在する。

また燃費や低排出ガス性能はHVのセールスポイントであり、かつこれがなければHVのエコカーとしての存在意義が無くなってしまう。

先述のように製造・廃棄の部分ではHVはガソリン車より環境に悪い。そのため、HVをエコカーとして成立させるには使用の部分でそれを取り戻す必要がある。

[編集] バッテリーの危険性の増大

ガソリンハイブリッド車両はガソリンエンジンと電気モーターを組み合わせているため、通常の車に搭載される12Vのバッテリーに加え、最大600Vで電気モーターを回すHVバッテリーを搭載している。このバッテリーは通常のバッテリーと比べ電圧が高いなどの理由から感電の際の危険が大きい。特に大型機械に搭載されているキャパシタ(コンデンサ)も同様の理由により感電した場合死亡事故にも繋がりうる。整備工場や事故現場等における感電事故が懸念されており、メーカーがレスキュー時の専用マニュアルを公開していることもある[7]

[編集] 静穏化による歩行者への危険の増大

ハイブリッドカーはモーター走行時の騒音が小さいため、主に低速時に歩行者、特に音で接近を判断する視覚障害者からの認知が遅れる可能性があり、危険性が指摘されている[8]。また、静穏性を悪用したひったくりが発生するという事態にまでなっている。電気自動車も含め走行中に人工的に音を発生させる装置の義務化がハイブリッドカーメーカーや政府によって進められている[9]が、ジェット機の音を小さくしたような音[10]であるため新たな騒音源になることが懸念される。

内燃機関と電気モーターの二種の動力源を装備した「エンジン=電気式ハイブリッドカー」の歴史は古く、初期の自動車の時代ではエンジン技術は未熟で高出力エンジンは製造が難しく、エンジン出力不足をモーターで補助するハイブリッドカーが考えられ、一部で用いられた。


トヨタのプラグを変更する方法
1896年
フェルディナント・ポルシェが1896年に発表。
1900年代初頭
1900年からオーストリアのウィーンのローナー社で製造された「ミクステ車」[11]は、ハイブリッド車で、車輪を駆動するのに電気モータを使い、エンジンで電気を発生させたシリーズ方式だった。また、駆動モーターはハブと一体化され「ホイール・イン・モーター」となっていた。この当時のポルシェは純粋な電気自動車に関心をもちローナー・ポルシェをハイブリッド車へ移行させるのは気がすすまなかったが会社からの指示で製作している[12]
フロント部分を2つのモーターで駆動した。他に4輪駆動も製作された。最初の4輪駆動はハイブリッドカーだった。ポルシェのハイブリッドカーは信頼性があったが車両価格は高かったため、一般の自動車と販売で競うことはなかった。ポルシェは第一次世界大戦では、100馬力曲射砲牽引列車でガソリンと電気のハイブリッドを作り評価された。
1905年
Hパイパーがモーターをエンジンのアシストに利用するというアイデアでガソリン=電気のハイブリッド車の特許を取得した。40km/hまで加速するのに30秒要したものがこれにより10秒となった。しかし、エンジン性能の向上に伴い、この技術は不要となった。
1915年
米国で、電気自動車を主に作っていたウッズ社(Woods Motor Vehicle:1899年-1916年)が、デュアルパワー(Dual Power)で4気筒エンジンとモーターを使って15mph (25km/h) 以下ではモーターで、それ以上ではエンジンで35mph (55km/h) まで出した。1918年まで600台ほどが販売された[13]
1921年
米国でオーエン・マグネティック (Owen Magnetic) の60型ツーリングではエンジンが発電機を駆動し後輪それぞれにマウントされたモーターで走行した[14][15]
ハイブリッド車は、電気自動車の航続距離の短さや、蒸気自動車の取扱いの難しさ、一定回転数でないと有効な出力が取り出せない内燃機関の欠点などを克服するために作られたが、しかし、エンジン技術は目覚しい発展を遂げ、ハイブリッドカーは衰退した[16]
エアーエンジン (Air engine) とよばれる空気エンジンを利用したハイブリッド車もあった。
1936年
チェコスロバキア国鉄の高速特急列車向けに同国のタトラ社(Tatra)が、マルチモード走行可能な流線型気動車のM290形「スロヴェンスカー・ストレラ」(Slovenská strela)を開発。170psディーゼルエンジン2基搭載で、低速域では発電して電気モーター走行、85km/h以上の高速域ではエンジン動力で直接車輪を駆動する動力切替機構を備え、速度試験では148km/hに到達した。2両のみ製造され、1960年まで運行されたが、一般的な気動車に比べ構造が複雑過ぎ、追随例は現れなかった。
1952年
ロンドンスモッグ発生、公害としては史上最多の1万人を超す犠牲者を出す。近代における環境運動の契機となる。
1959年
速度制御にトランジスターを用いた現代的な電気自動車としてヘニー・キロワット(Henney Kilowatt)が開発、市販され、この電子制御技術が後のハイブリッドカーにも活かされることとなる。ヘニー・キロワットは、ナショナル・ユニオン・エレクトリック・カンパニー、ヘニー・コーチワークス、ルノー、ユーレカ・ウィリアムズ・カンパニーの共同開発であった。販売はまったく振るわなかったが、この成果は電気による走行技術の歴史の一歩とされている。
1960年代
トヨタ自動車が「ニューエンジンとエネルギー問題」というテーマへの取り組みの中で1964年から研究し、1969年から実車開発を開始し1971年にはバス用試作ユニットとして公開した。1969年には、ゼネラルモーターズがGM512を登場させた[14][15]
1970年代初頭
都市部の大気汚染が深刻な健康問題となる。排出ガス規制が求められたが、遅々として進まなかった。
作家ハーマン・ウォークの兄弟であるビクター・ウォーク (Victor Wouk) はヘニー・キロワットの開発に携わっていたが、彼の1960年代から1970年代にかけての活動はアメリカではハイブリッドのゴッドファーザーとして語られている。ウォークは電気ハイブリッド駆動のプロトタイプを1972年にビュイック・スカイラークに搭載した[17]。これは米国連邦政府が1970年におこなった連邦政府クリーンカー・インセンティブ・プログラムに参加したゼネラルモーターズが行ったものだった。このプログラムはEPA米国環境局が1976年に打ち切ってしまった。
1973年
第四次中東戦争勃発に伴い第一次オイルショック発生。OPECによる原油値上げに加え禁輸のため燃料が不足しパニックになる。これに伴い自動車販売は大幅に落ち込み自動車各社は大打撃を受ける。自動車各社は存亡をかけて経営危機に立ち向かうが、この取り組みの一つとしてハイブリッドカーの研究開発が行われるようになった。しかし、安定した石油供給と排気ガス対策の進展により経営状態は改善し、1985年を過ぎるころになるとハイブリッドカー研究は縮小された[16]
1973年
フォルクスワーゲンがタクシー用ハイブリッドカーを製作する。電気技術者だったデヴィッド・アーサーズ (David Arthurs) が、オペルGTとありあわせの部品で1978年頃に開発した。回生ブレーキ (The regenerative-braking hybrid) 付きで、バッテリーとモーター(ジェットエンジンのスターターを使用)の電圧制御部分と直流発電機はアーサーズが作ったものである。75mpgの燃費を記録した。Mother Earth Newsで1980年バージョンが84mpgだった[14][15]
1975年
トヨタ自動車は、ガスタービンエンジンをセンチュリーに搭載し、1975年の第21回東京モーターショーで「トヨタ センチュリー・ガスタービン・ハイブリッド」として参考出品した。タービンで発電機を回して電気エネルギーに変換し、バッテリーに蓄え、バッテリーからの電気で直流モーターを駆動させるシリーズ方式である。ガスタービンは発電専用のため高度な回転制御が不要で、シンプルな1軸式である。モーターは左右の前車軸にあり、前輪を駆動する前輪駆動方式。最高速度160km/hで、120km/hまではバッテリーの負担無しでの巡航が可能。燃料には航空機用ケロシン(ほぼ灯油と同成分)を使用した。(以上[18])
1977年
トヨタ自動車が上記のセンチュリーと並行して進めていたプロジェクトで、同社のスポーツ800に、ガスタービンエンジン、発電機、モーターを搭載したハイブリッドカーを製作し、1977年の第22回東京モーターショーに出品した。
1979年
イラン革命発生。イランでの石油生産停滞とOPECによる原油値上げに伴い第二次オイルショック発生。
1981年
旭化成の吉野彰が、白川英樹が発見した導電性プラスチックであるポリアセチレンを利用したリチウムイオン二次電池を発明した。
1982年
住友特殊金属の佐川眞人らによって、ネオジム磁石が発明された。ネオジム磁石を使った永久磁石式同期モーターは、プリウスの発電機・動力モーターやインサイトの動力モーター、i-Mievの動力モーターなど、その後のハイブリッド自動車、電気自動車のモーターの主流になっていく。
1982年
メルセデス・ベンツが1982年からハイブリッド試作車を製作したが、いずれも本格生産されることはなかった。
1988年
フォルクスワーゲンも数々のハイブリッド試作車を製作した。1988年にはチューリッヒで20台のパラレル式ハイブリッドカーを3年間、一般に貸し出し、モニター実験を行った。
1989年
マツダは1989年の東京モーターショーで、RE13X スーパーレスポンスロータリー/モーターハイブリッドシステム[19]というコンセプトエンジンを展示した。RE13Xは13Bロータリーエンジンを母体とし、ATCS(アクティヴ・トルク・コントロール・システム)と呼ばれるモーター/ジェネレーターをエキセントリックシャフトの出力側に取り付けていた。通常のエンジンでフライホイールが付く位置である。ATCSは、低回転時のエンジンのトルク変動を電気モーターの逆トルク位相で打ち消すのが目的である。通常の2ローターロータリーエンジンでも、4気筒以下のレシプロエンジンに比べ、トルク変動は小さいが、マツダの技術者たちはそれでもよりスムーズにすべきだと考えていた。フライホイールが不要なことと、エンジン自体がオールアルミ合金製であったため、低慣性モーメント化が実現でき、レスポンスに優れていた。ATCSのモータ� ��は、回生ブレーキとしても機能し、ブレーキング時には発電を行い、バッテリーに充電する。エンジンへの負荷を低減させるため、RE13Xの補器類は全て電動となっていた。RE13Xの最高出力は220bhp、最大トルクは196N・mと発表されている。
1989年
アウディは3代目100アバント(ステーションワゴン)をベースとし、100kWの2.3リッター直5 ガソリンエンジンで前輪の駆動と発電を行い、9.
3kWのシーメンス製電気モーターで後輪の駆動と回生発電を行う、パラレルハイブリッド方式の「アウディ・100 アヴァントデュオ」を試作し、同年のIAAに出品した。このシステムは、郊外ではガソリンエンジンで、市街地では電気モーターで走行することを目的としており、エンジンとモーター走行の切り替えはドライバーの任意で行う事ができる。荷室の床には54セルのニッケル・カドミウム蓄電池が搭載され、モーターへの電力供給と、回生ブレーキ時の電力回収を行う。10台が試作されている。
1991年
アウディは再び100アヴァントクアトロ(四輪駆動)でも試作を行い、この時は2,000cc 85kWエンジンと、21kWかご形三相誘導電動機モーターの組み合わせであった。
1992年
パリサロンでボルボはガスタービン-電気式ハイブリッドのECC(Environmental Concept Car)を発表した。翌1993年の東京モーターショーにも出品され、その後媒体向けの試乗会も行われている[20]
1993年
9月29日 米国でクリントン政権が新世代自動車パートナーシップ (Partnership for a New Generation of Vehicles (PNGV) ) でクライスラー、フォード、ゼネラルモーターズ、USCAR(米国自動車研究評議会 en:USCAR)、DoEなどに次世代の経済的でクリーンな自動車を開発するように求めた。これは第二目標 (Goal 2) としてすばやく生産に載せられることを確約できる証明を行うことされ、第三目標 (Goal 3) では2004年にプリプロダクション試作車に移行できることとされた。このプログラムは、2001年のブッシュ政権で水素燃料に注目したフリーダムCARイニシアチブに置き換えられた。
1994年
アウディは、アウディ80 duoを市販する。乗用車では発のハイブリッド市販車となった。しかし非常に高価であったため、販売は振るわなかった。
1995年
第31回東京モーターショーにプリウスが参考出品される。
1997年
アウディ・A4 duoでは、66kWのTDIディーゼルエンジンと21kWのモーターを組み合わせ、90台を生産した。販売価格は6万マルクだった。アウディでは、これまでの結果から、ハイブリッドカーの市場はないという結論に達し、ディーゼル技術へ舵を切った。
8月 - トヨタ自動車がマイクロバスのコースターにシリーズ方式ハイブリッドを搭載した「ハイブリッドEV」を市販。これは、電気自動車の一充電あたりの走行距離をより伸ばす目的で考案されたもので、走行中も常に発電し、充電を行うため、純粋な電気自動車の短所を大きく払拭している。ただし、価格はディーゼル車の2倍程(約1500万円)と非常に高価であった。エンジンは初代プリウスと同型の1.5L ガソリンエンジン。
10月 - トヨタ自動車がプリウスを発売。パナソニックEVエナジー製ニッケル・水素蓄電池を搭載。エンジンを一定の低燃費回転域で動作させ、遊星歯車機構によって速度調整と充電をおこない、低速走行時・加速時・電力余剰時に電動モーターを使用する動力分割方式ハイブリッドを初めて搭載。
1998年
パノスQ9ハイブリッドがル・マン24時間レースに出場するも予備予選落ち。
1999年
本田技研工業よりインサイトが同年9月に発表され、11月より販売が開始された(パナソニックEVエナジー製ニッケル・水素蓄電池を搭載)。
2000年
4月 - 日産自動車がティーノ に「NEO HYBRID」を追加、100台限定で販売を開始する。新神戸電機製リチウムイオン二次電池搭載。
10月 - 三菱ふそうトラック・バス エアロスターHEVを東京モーターショーに出品。
2001年
ブッシュ政権が水素燃料に注目したフリーダムCARイニシアチブを開始。
6月 - トヨタ自動車 エスティマハイブリッド発売。
8月 - トヨタ自動車 クラウンマイルドハイブリッド発売
9月 - 日野自動車 ブルーリボンシティ HIMRワンステップバス発売。
12月 - 本田技研工業 シビック ハイブリッド発売。
2002年
6月 - 日産ディーゼルが電気二重層コンデンサ(スーパーキャパシタ)を用いたコンドル キャパシタハイブリッドを発表。
11月 - ダイハツ・ハイゼットカーゴ ハイブリッド発売。
2003年
1月 - スズキ ツイン ハイブリッド発売。
7月 - トヨタ自動車 アルファードハイブリッド発売。
11月 - 日野自動車 デュトロハイブリッド発売。
2004年
2月 - 三菱ふそうトラック・バス エアロスターHEVノンステップ発売。
12月 - 本田技研工業 北米向けアコードハイブリッドを発売。
12月 - 第一汽車が三菱自動車との共同開発で「紅旗ハイブリッドカー」を発表。
2005年
6月 - 長安汽車がハイブリッドカー投入を発表。
9月 - フォルクスワーゲンと上海汽車がトゥーランでハイブリッドカーを生産すると発表。
11月 - 上海華普汽車がハイブリッドカーを生産すると発表。
11月 - トヨタ自動車が中国にハイブリッドカーを正規導入。同社は四川一汽トヨタ自動車有限会社(中国第一汽車集団公司との車両生産合弁会社)長春工場で2005年末からプリウスを生産。
2006年
10月 - 日産自動車が米国でトヨタ自動車のハイブリッドシステムを搭載したアルティマハイブリッドをオレンジカウンティオートショーに出展、2007年投入予定と発表。
2007年
2月 - 上海交通大学と人民解放軍部隊が北京奔馳-ダイムラー・クライスラー(現・北京ベンツ)の北京ジープを改造したハイブリッド車を共同開発したと北京週報が報じる[21]
3月 - トヨタ自動車はジュネーブショーで全世界でのプリウス累計販売台数65万台、うちヨーロッパでの販売が5万台。全トヨタハイブリッドモデルの累計販売台数を90万台と発表。
5月 - アメリカ・ニューヨーク市は、同市内を走る13,000台のタクシー(イエローキャブ)の全てを、2012年までにハイブリッド車に置き換える計画を発表。
6月 - トヨタ自動車は、ハイブリッド車の世界販売台数が100万台を超えたことを発表。
7月 - トヨタ自動車は、十勝24時間レースにレース専用設計のハイブリッド車スープラHV-Rで出場し、優勝を飾る。水冷キャパシタを搭載。
7月 - トヨタ自動車のプリウスを改造したプラグインハイブリッドカーが国土交通省から大臣認定を受け、公道テストを開始。
2008年
6月 - 住友電気工業が世界初となる超電導モーターによるハイブリッドカーを試作。
12月 - 比亜迪汽車が世界初となる量産型プラグインハイブリッドカーであるBYD F3DMを政府機関向けに発売。1年間で約100台を販売。
2009年
2月 - ホンダが2代目となるインサイトを発売。
5月 - トヨタ自動車が3代目となるプリウスを発売。
7月 - 現代-起亜自動車グループが韓国車初の市販ハイブリッドカーを計2車種、韓国国内で販売開始。どちらも組み合わされるエンジンはLPi。
ヒュンダイがアバンテLPiハイブリッドを発売。
キアがフォルテLPiハイブリッドを発売。

[編集] ハイブリッドカーを取り巻く状況

[編集] 乗用車

日本や北米ではハイブリッドカーが環境に優しい車として認知されている。理由としては、両国都心部は高加減速能力が重要視される環境故に、この能力が高いモーターを利用するハイブリッドカーのメリットが活かしやすいと言う事情が挙げられる。

ハイブリッド技術の開発には数千億円単位の開発費がかかるため、独自に開発費を負担できない国内の自動車メーカーが2009年後半に相次いでハイブリッド技術を持つ有力メーカーと提携している[22]

世界的な2050年までの二酸化炭素排出量半減の流れを見ると、ハイブリッドカーを普及させても自動車からの二酸化炭素排出量を半減させることは難しい。その様な事情もあってか、ハイブリッド技術で先行したトヨタ自動車や本田技研工業に対し、日産自動車や三菱自動車工業は電気自動車の量産を目指している。

ブラジルやアメリカでは自国で生産されるサトウキビや穀物や果物を原料としたバイオエタノールを燃料として利用できるフレックス燃料車が1000万台以上存在している。摂氏15度以上ではバイオエタノールのみで走行できるため年中温暖な赤道から亜熱帯地域で適している。

ヨーロッパメーカーは、高加減速能力より高速能力が重要視される環境が災いしたのかハイブリッド技術で後れを取ったため、開発資金が安く開発期間も短く済む上に品質の良い軽油の調達が容易と言う事情もあり、高速能力ではハイブリッドカーに勝る低燃費ディーゼル車の開発に力を入れている[23]

世界的な原油価格の高騰と各国政府による補助金により先進国ではハイブリッドカーの販売は伸びているが自動車離れの傾向は止まっていない。また、日本や北米ではハイブリッドカー以外の車の販売が全体に落ち込んでいる。メーカーによってはハイブリッドカーが主力商品となることも考えられる。 発展途上国においては日本メーカーの作るハイブリッドカーは価格が一般庶民の手には届かずあまり売れていない。現地メーカーによる低価格のガソリン車や電気自動車のほか、低価格の電動バイクは増えており、先進国とは違った需要が存在する。


[編集] バス

大型自動車では、1991年に日野自動車が路線バス用としてディーゼルエンジンと電気モーターによるパラレルハイブリッド方式のHIMR(Hybrid Inverter-controlled Motor & Retarder System = ハイエムアール)を試作し、東京都交通局などで試験運行を開始した。1994年に型式(かたしき)承認を取得し、大型路線バスブルーリボンシリーズの1モデルとして正式発表している。日野自動車は改良を続け、1995年には小排気量エンジンに変更して排出ガス値と燃費を改善し、2001年にはワンステップ化、2005年にはノンステップ化を実現した上で、親会社のトヨタからプリウスの技術を流用、価格を下げることにも成功している。このモデル以降はHIMRの呼称をやめ、単に「ハイブリッド」と呼ぶようになった。また、観光タイプ(日野・セレガ)の製造も行われている。

一方、日野自動車以外の国産バスメーカー3社は、電気式より構造が単純であることなどから、減速時のエネルギーで作動油を蓄圧タンクに入れ、タンク内部の窒素ガスを圧縮し、発進時などに油圧として動力を取り出す、蓄圧式ハイブリッド車を開発した。

嚆矢は三菱ふそうのMBECS(エムベックス)で、1993年から試験運行を開始し、1995年に同社の大型路線バスエアロスターをベースとしたMBECS IIを正式発売し、1998年からは、ワンステップバス対応のニューエアロスター用のMBECS IIIも発売開始した。また、UDトラックス(旧:日産ディーゼル)がERIP(エリップ)、いすゞ自動車はCHASSE(シャッセ)を開発している。しかし、このタイプは思ったほどの排出物低減効果が見られなかったことや、路線バスで並行して要求されていた低床化に対応できなかったことから販売は少数に留まり、2000年度をもって、各社とも撤退してしまった。

日産ディーゼル工業は、大電流の出し入れ速度に優れる電気二重層コンデンサ(スーパーキャパシタ)を用いた、キャパシタハイブリッドを独自に開発し、日野自動車に技術供与も行った。同社は大型車用ディーゼルエンジンの窒素酸化物低減でも、コモンレール噴射方式に大量のEGRとDPFの組合せを採る各社とは異なり、唯一ユニットインジェクターと尿素SCRシステムを採用するなど、独自性が際立っていた。しかし、その後同社もコモンレール噴射方式に移行し、尿素SCRシステムとを組み合わせで三菱ふそうトラック・バスに技術供与し、一旦は相互OEMの関係となっていたが、2010年10月にその契約を終了し、バス生産から撤退している。

その後三菱ふそうはディーゼル・電気式ハイブリッドバスHEVを試作し、2002年に遠州鉄道で試験運行を行い、2004年から正式にエアロスターHEVノンステップとして販売、2007年からは改良を施され、エアロスターエコハイブリッドとして発売された。HEVはHIMRと異なり、ディーゼルエンジンを発電専用とし、駆動にはもっぱら電気モーターを使用するシリーズハイブリッド方式である。

2003年8月22日より、米・キャプストン・タービン製マイクロガスタービンを使ったニュージーランド・デザインライン製ガスタービン発電シリーズハイブリッド方式電気駆動バスが、日の丸自動車興業によって東京駅周辺で無料巡回バスとして運行されている。

[編集] 軍用車両

旅客輸送を除く車両においても古くから電気駆動は使われており、鉱山で活躍するオフロードダンプなどの超大型機の駆動装置には現在でも「ディーゼル・エレクトリック方式」が使われ続けている。今でも大馬力用の歯車式変速装置には信頼性の不安が残っているからである。たった一対の歯の噛み合いに応力が集中し、一つでも歯が欠けたり焼きつきを起こしたりすれば、全ての駆動力は失われる。

大馬力を伝達できる「はすば歯車」を量産する工作機械が第二次世界大戦の直前に米国で開発されるまで、大型機はほとんど電気駆動だった。第二次世界大戦時にはエレファント重駆逐戦車やマウス (戦車)に「ガス・エレクトリック」が提案されたが採用されなかった。したがって十分な工作機を持たない枢軸国側ではティーガー I 戦車なども生産性の低さや機械駆動系の故障に悩まされた。

戦後、材料の改良と工作機械が広く普及したため、50t級の重戦車まで機械駆動系で問題なく実用化されている。最近になって各国で開発されている軍用ハイブリッド車は単なる大馬力用電気駆動車ではなく、ハイブリッド特有の利点を得るために計画されている。軍用大型トラック向けには民生用と同様に燃費の向上を目的として回生ブレーキ込みのハイブリッドシステムが開発されている[24]

[編集] レーシングカー

モータースポーツの世界においても、主に自動車メーカーの技術アピール等の理由からハイブリッドカーが参戦する例が見られる。

ツーリングカー分野では、2006年にスーパー耐久の一戦である十勝24時間レースにレクサス・GS450hが出場した(実際のチームオペレーションはサードが行った)。ハイブリッドカーを用いたワークス・チームによる本格的なレース参戦はこれが嚆矢とされる[25]。トヨタでは翌2007年にも、前年に使用したGS450hの機構をスープラに移植して十勝24時間レースに参戦し総合優勝を果たしている。その後2010年よりスーパー耐久・ST5クラスにプリウス、インサイト、CR-Zの3車種が参戦を認められている。

純レーシングカーの世界でも、2009年よりF1で使用されている運動エネルギー回生システム(KERS)のうち、回生ブレーキを用いた電気式システムが事実上のハイブリッドシステムとなっている。2013年からはフォーミュラ・ニッポンでもKERSと同種のシステムである「System-E(仮称)」が使われる予定である。

2012年に始まるFIA 世界耐久選手権では、トヨタがハイブリッドカーのTS030で参戦を開始する予定(実際の車両開発はTMGが行う)。アウディはディーゼルエンジンのR18にフライホイール式蓄電システムを搭載するR18 e-tronクワトロを使用する。


[編集] ハイブリッドカー一覧

[編集] 市販車種

[編集] コンセプトモデル

[編集] 脚注・参照

[編集] 関連項目

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